民事信託(家族信託)家事事件

自分や家族のニーズに合う財産管理・財産承継の方法はないでしょうか?

  • 一人暮らしをしているが、高齢になり、財産管理に不安が出てきた。今の生活を維持しつつも、子どもに財産管理をしてもらう方法はないか。
  • 障がいのある子と二人暮らしをし、自分が家計を管理している。自分が死んだ後、子どもが生活に困らないように、今から準備できないか。
  • 前妻との間に子どもはいるが、離婚後、再婚し、後妻との間に子どもはいない。自分が死んだ後、いったんは後妻に自宅を利用させ、後妻死亡後、子どもに相続させたい。このような財産承継はできないか。
  • 夫婦二人暮らしで子どもはいない。私も妻も、親から相続した不動産を所有している。私死亡時は妻が、妻死亡時は私が、不動産を利用しつつ、いずれは、私の不動産は私の弟に、妻の不動産は妻の妹に渡したい。このような財産承継はできないか。
  • 事業を行っているが、いずれは、子どもの一人を後継者にしたい。子どもが経営者として一人前になるまでは、自分が経営に関わりつつ、円滑の株式を譲渡できないか。

などでお困りの方、弁護士にご相談ください。

 

1 民事信託とは

信託とは、自分が所有する一定の財産を信頼できる人に託してその人に管理してもらい、その財産やその運用益を自分あるいは特定の人に給付してもらう制度をいいます。

信託された人(受託者)は、信託財産の完全な所有権を取得しますが、その財産から利益を得る人(受益者)は、受託者に対し、信託の目的に従った信託財産の管理・処分を行うよう請求する権利を有しています。

信託銀行が行う「商事信託」と区別する意味で、一般に「民事信託」と呼ばれています。

民事信託の中でも、高齢者や障がい者等の財産管理・財産承継を支援する目的の信託については、「家族信託(福祉信託)」と呼ばれることもあります。

2 成年後見制度との違い

成年後見制度は、精神上の障害(認知症、精神障害、知的障害など)により判断能力が十分でない方のために援助者をつける制度です。任意後見制度もありますが、主に利用されている法定後見制度では、認知症等で自分の財産を管理することができなくなった場合に、自分や親族等が裁判所に申し立てをして後見人を選任してもらい、その後見人に財産を管理してもらいます。

この制度では、後見人は裁判所が選任しますので、自分が気に入った人が選任されるとは限りませんし、家族以外の人が選任された場合は、家族からすると他人が家庭に入ってくることになります。また選任された後見人と家族とが財産の管理について意見が対立することも考えられます。また成年後見制度では、本人が亡くなられた場合には、相続が発生し遺言がない限り法律に従って相続される(法定相続)ことになります。法定相続によらずに相続させたい場合、遺言をしておかなければなりませんが、認知症等により成年後見を利用するころに、遺言をできる法律上の行為能力があるとは限りません。

これに対し、民事信託では、財産を預ける人(委託者)が、信託契約(又は遺言による信託)をした後に認知症等になったとしても、信託の効力に影響はなく、委託者死亡後も、受託者と受益者の間だけで信託契約の効力を存続させることができ、それぞれの事情に応じた柔軟な財産管理・財産承継が可能です。

3 利用例

(1)高齢者の財産管理

高齢で認知症等になる前に、信頼できる家族あるいは第三者との間で信託契約を結び、自分の財産の全部あるいは一部の管理を委託し、その財産を自分や自分の家族のために利用する旨の信託契約を結びます。そうすることによって、自分で財産を管理しなくても自分や家族の生活費や介護施設の利用料費用を受け取ることができます。

(2)親亡き後の問題

自分が亡くなった後に備え、自分の財産を信頼できる家族あるいは第三者を受託者とし、自分が生きている間は自分を受益者とし、自分が亡くなった後は障がいのある子どもを受益者とし、将来、子どもが困らないようにすることができます。

(3)受益者を後妻から子に連続させる信託

自分が亡くなった後に備え、自分の財産を信頼できる家族あるいは第三者を受託者とし、自分が生きている間は自分を受益者とし、自分が亡くなった後は後妻を受益者とし、後妻が亡くなった後は、前妻との間の子を受益者とし、後妻が生前生活に困らないようにすると共に、最終的に子どもに財産を承継させることができます。

(4)子がいない夫婦間の相続

自分が亡くなった後に備え、自分の財産を信頼できる家族あるいは第三者を受託者とし、自分が生きている間は自分を受益者とし、自分が亡くなった後は配偶者を受益者とし、配偶者が亡くなった後は、自分の兄弟姉妹を受益者とし、配偶者が生前生活に困らないようにすると共に、最終的に自分の兄弟姉妹に財産を承継させることができます。

(5)事業承継

事業の経営者が、自社の株式を信託し、後継者である子どもに受益権(配当金など)を与えるが、議決権をどのように行使するかを指図すること(指図権)は自分が元気な間は自分がする、元気でなくなった場合には、子どもに譲るということもできます。このような信託をすることにより事業を引き継ぐこともできます。

4 利用の際の注意点

民事信託は上記のとおり、様々な場面での利用が考えられますが、相続時の遺留分(いりゅうぶん)が問題になる等、思わぬトラブルも考えられ、将来を見越した契約にする必要があります。また、それぞれの事情に応じた信託契約の条項にする必要もあります。民事信託を利用するか否か、その内容について、お気軽に弁護士にご相談ください。

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