1 いい遺言の日
11月15日は語呂合わせから「いい遺言(いごん)の日」です。
遺言は、自分亡き後の相続人間の紛争を防止するために有用なものですので、予め作成することをお勧めします。
2 遺言の作成方法
遺言の作成方法はいくつかありますが、公正証書遺言と自筆証書遺言の2つの方法がよく利用されています。
今回は、自筆証書遺言について説明します。
自筆証書遺言は、法律では、「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」と規定されています。自らが書くという要件を満たさなければ、全てが無効とされます。判例では、「昭和四拾壱年七月吉日」と記載された遺言が無効とされたこともあります。
3 自筆証書遺言についての民法改正
先の国会では、この自筆証書遺言について、その方式を緩和する改正が行われました。
例えば、1つ1つの財産について相続人を指定するといった遺言を書く場合、誰がどの財産を譲り受けるのかを把握するためには、財産を特定しなければなりません。財産が多くなればなるほど、財産の特定だけのために相当な文字量になります。そうなると、全文を自らが書かないといけないわけですから、大変な労力になります。
改正では、財産の特定のために、財産目録をパソコンで作成することができるようになります。また、財産目録自体を作成しなくても、通帳のコピーや不動産の登記事項証明書を目録として遺言書に添付することも可能になります。
平成31年1月13日以後に作成する遺言から自書しない財産目録を添付することができるようになります。
4 自らに合った遺言の作成のすすめ
改正によって自筆証書遺言の方法での遺言の作成がしやすくなります。しかし、自筆証書遺言で作成しても、記載された文章の意味があいまいだったり、多義的だったりすれば、結局揉めることになりかねません。また、遺留分の侵害はないか、誰が遺言の内容を実現するか(遺言執行者の選任の要否)など遺言を作成するに当たり考慮すべきことを検討する必要もあります。
遺言は、自らが亡くなった後に、揉めないために作成するものですので、そのために、どのような方法で(自筆証書遺言にするか、公正証書遺言にするか)、どのような内容を作成するのか、また、その前提として弁護士に相談するかなどを考え、ご自身にあった遺言を作成してみてはいかがでしょうか。