私は、当事務所本所で勤務した後、平成30年2月から令和5年3月末まで、弁護士の少ない高知県東部地域に設立された安芸ひまわり基金法律事務所で5代目所長を務めました。
同事務所の所在する高知県安芸市は、現在、“農福連携”の先進地として注目されています。
“農福連携”とは、障がい者や生きづらさを抱える方が、農業など、担い手不足や高齢化が進む分野で活動することを通じて、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組です。
文字通りの農業と福祉(障がい者)の連携という狭い意味だけではなく、「農」には農畜産物・水産物の生産のみならず食品加工業、小売販売業等も含まれ、「福」には障がい者だけでなく、高齢者、生活困窮者、触法障がい者など社会的に生きづらさがある多様な人々が包摂されます。
現在、安芸市においては、名産のナスやピーマン農家を中心に、100名以上の方が、農福連携の取組で就労されているとのことです。
弁護士として活動していると、様々な場面で、生きづらさを抱えて苦悩している方々と出会います。
その際には、一つの選択肢として、安芸市における農福連携をご紹介させていただくことがありました。実際、私が、農福連携につなげたケースでも、当初は生きづらさを抱えて家の外に出ることもままならない方が、農業や水産業と出会い、どんどん自信や生きがいを持って再び社会に参画していくところを目の当たりにして、非常に有意義な取組であると感じました。
誰しもが、何かの拍子に、生きづらさを抱えて社会とのつながりを失ってしまう可能性があります。
そのため安芸市における農福連携のような取組がどんどん広がり、周知されて、多くの生きづらさを抱えた方の社会復帰・社会参画に寄与してくれることを切に願います。
私自身も弁護士として、少しでもお力になりたいと思っています。