沖縄本島南部に位置する糸満市摩文仁(まぶに)は、沖縄戦最後の激戦地であり、現在は、平和祈念公園という大きな公園があります。
私は、那覇市に居住していたことがあり、その当時、目的地も決めずにサイクリングをしていたところ、この平和祈念公園を通りかかり、立ち寄ったことがあります。
公園は、都市部から少し離れた海岸沿いの丘陵地帯にあって、広大な敷地は綺麗に整備されており、とても静かで、島風が吹き抜けていました。
私は、それまで、「沖縄戦の戦没者は約20万人と推定されている。」という一文を読んでも、文字どおり、沖縄戦では約20万人が亡くなったのだなということしか思いませんでした。テレビや本で知っている沖縄戦は、どこか映画のようで、現実感がありませんでした。
園内には慰霊碑があるのですが、そのような軽い気持ちで眺めていたら、戦没者の氏名と年齢が目に留まりました。名前からは、男性で兄弟がいるようでした。年齢は、十代でした。
そのとき、それぞれの人生を生きていた少年が、この戦争で死んだということをまざまざと感じたのです。何も悪いことをしていないのに、もう美味しいものを食べたり、友達と楽しく話したり、大人になって陽気に飲みに行ったりできなくなったことが、悲しくてたまりませんでした。
戦跡を訪れて五感で感じることで、戦争を以前より現実的なものとして感じられたように思います。平和祈念公園は、景色がとても素敵な公園というだけでなく、平和について深く考えさせられる場所なので、もう一度、行きたいなと思っています。