少し前の話になりますが、2025年2月1日に広島弁護士会館で開催されたシンポジウム:日本弁護士連合会貧困問題全国キャラバン「健康で文化的な最低限度の生活を考える」に参加してきましたので、その様子をご報告いたします。
このシンポジウムは、昨年10月に開催された日弁連の人権擁護大会の「『生活保障法』の制定等により、すべての人の生存権が保障され、誰もが安心して暮らせる社会の実現を求める決議」を踏まえ、現在の生活保護制度を改めて見つめ直すために、広島弁護士会が企画したものとなります。
なお、「生活保障法」とは、現在の生活保護制度の問題点を改善し、誰もが利用しやすい制度となるよう、生活保護法を改正することを目指して日弁連が提唱しているものです。詳しくは、下記のリンク先をご参照ください。
https://www.nichibenren.or.jp/document/civil_liberties/year/2024/2024_1.html
さて、本シンポジウム第一部では、愛知県弁護士会所属で生活保護裁判名古屋訴訟弁護団団長を務める内河惠一弁護士から、内河弁護士が弁護士になるまでの道のりにおける生活保護との関わりについて貴重なお話がありました。
第二部では、内河弁護士に加え、貧困問題に長年取り組んでおられる小久保哲郎弁護士(日弁連貧困問題対策本部事務局次長)と広島の生活保護裁判の当事者の方を交えて、日弁連が視察調査を行った諸外国の生活保障制度の紹介や生活保護利用者の意見等を踏まえ、現在の生活保護制度の問題点、今後求められる生活保障制度の在り方などについて活発な議論がなされました。
第一部、第二部を合わせて2時間半の長丁場となりましたが、活発に意見交換がなされるなど大変充実したシンポジウムとなりました。
現在、2013年から3年間にわたって行われた生活保護基準引下げの違法性を問う裁判が全国各地で係属しており、広島でも本年4月に高等裁判所の判決が出る予定です。本シンポジウムで学んだことを踏まえ、裁判の行方にも注目していきたいと思います。