みらいブログ

2022.10.11

競争の番人

見之越 常治

 主人公が、公正取引委員会の審査局職員であるテレビドラマ「競争の番人」が、先月、終わりました。
 
 公正取引委員会は、独占禁止法を運用するために設置された機関で、独占禁止法だけでなく下請法の運用も行っています。
 テレビドラマで取り上げられる程に公正取引委員会が注目を浴びているのは、理由があります。
 独占禁止法や下請法の重要性が高まってきたからです。
 
 独占禁止法に違反する行為が発覚すると、その行為によっては公正取引委員会から課徴金納付命令という行政処分を下される場合があります。課徴金というのは、制裁金です。
 
 しかし、例えば独占禁止法違反があることを自主的に申告した場合などには、その課徴金の納付を免除されることがあります。
 制裁金といっても、1億円を超える場合がありますから、 少しでも免除を受けられるかどうかは、とても重要です。
 
 最近の裁判例で、独占禁止法に違反して課徴金納付命令を受けた会社の株主が、代表を含む4名の取締役に対して責任追及の裁判を起こした結果、取締役に対して10億円を超える損賠賠償請求が認められた事案があります(東京地方裁判所令和4年3月28日判決 ※現在、控訴審で係属中)。
 この事案において、課徴金の免除を受けることが出来ていれば、違った結論になっていたかもしれません。
 
 独占禁止法や下請法といった法律違反を自主的に申告するためには日頃から法律違反行為がないかどうかチェックするためのコンプライアンス体制を確立することが必要不可欠です。
 このような体制の構築は、簡単なことではないですが、長期的には、企業の価値を高めることに繋がります。
お問合せ 大竹支所尾道支所 広島本所