みらいブログ

2018.01.26

福祉と司法、どう手をつなぐか

佐藤 邦男

 昨年12月16日、「福祉と司法、どう手をつなぐか」(主催:広島県地域生活定着支援センター、場所:広島弁護士会館)という演題で、講演してきました。
 参加者の多くは福祉や司法に関係する人たちで、罪を犯した人が刑務所などから出所した後の支援のあり方に興味関心を抱いている方達でした。
 私の前には、長崎県地域生活定着支援センターの伊豆丸センター長からのご講演があり、長崎県での取り組み内容をお話しされました。例えば、長崎では、出所前から、同センターの職員が刑務所に赴いて出所後の意向調査をしながら支援計画を立てていること、出所後も伴走型支援をしていること、失敗があっても粘り強く活動されていること等のご報告がありました。
 私からは、刑事裁判の場では、罪を犯した人の出所後のケアまで議論が尽くされていないケースも多々あることを報告しました。とくに、身寄りのない方、障がい(疑いも含む)があり生きづらさを抱えている方、依存症を抱えている方などは、司法分野からの支援は非常に限定的であり、その人の更生を支える意味でも、再犯を防止する意味でも、福祉関係者との連携を深めていく必要があることをお話ししました。
 最後に、更生保護施設ウィズの山田理事長を交えて、パネルディスカッションをしました。いわば加害者側を支援することの難しさや葛藤なども話題になりましたが、刑を終え、社会の一員として復帰する人に対して、やり直しが可能になる社会、その人の生きづらさを理解し共感できる力のある社会を目指したい、というお話ができました。
 昨年、再犯防止対策推進法が施行され、多くの方がこの問題に着目するようになりました。福祉と司法が、互いにその垣根を少しずつ乗り越え、困難を抱える方に対してより良い支援ができることを願って、今後も活動していきたいと思います。

お問合せ 大竹支所尾道支所 広島本所