先日、当事務所の大竹支所主催で、主に地域の福祉関係者の方々を招いて勉強会を行いました。このような勉強会は、当事務所の大竹支所が設立されて以来、5年に渡って定期的に開催しています。ここ最近の勉強会では、児童虐待、生活保護や自死予防などを題材としています。
同勉強会は、互いに知見を深めるとともに、高齢者・障害者等の司法アクセスの解消を目指し、高齢者・障害者に身近な存在である福祉関係者と弁護士が連携を図れるように、普段から互いに顔の見える関係性を築くための場を設けることなども目的としています。なお、当事務所では、広島本所、尾道支所でも同様の勉強会を定期的に開催しています。
今回の勉強会では、精神保健福祉法をテーマに、私から同法の概要について説明をさせていただきました。同法上には、精神障害者の入院制度が大きく分けて3つ定められています。一つ目は、本人の同意に基づく「任意入院」、二つ目は、本人の親族等の同意による「医療保護入院」、そして三つ目は、都道府県知事の権限による「措置入院」です。もっとも、ときには入院中の患者が、受けている治療、処遇やそもそも入院していること自体に納得がいかないという場合がありますので、同法は、入院患者に、退院請求・処遇改善請求をする権利を認めています。
入院患者が退院請求・処遇改善請求をするに際して、弁護士が代理して行うことがあります。その際には、退院後の患者の社会生活維持にも配慮する必要があり、そのために住まいを探すこと、患者の日中の活動の支援等、弁護士の力だけではどうしようもならないことも多々あります。
このような場合には、精神保健福祉士をはじめとする福祉関係者と弁護士との連携が必要となることがありますので、今回の勉強会では福祉関係者の方々と入院患者のためにどのような退院支援ができるか検討したいと考え、同法を題材とさせていただきました。
もっとも、今回のテーマは精神保健福祉法でしたが、私からざっと法の概要を説明させていただいた後は、同法に限らずに、お互いの仕事の悩みなどを、ざっくばらんに話し合い当初予定していた時間を過ぎても話は尽きませんでした。
このように、テーマに縛られず、福祉関係者から普段のお仕事をする上で気になる法律問題について質問を受けたり、弁護士側からも福祉の現場の状況を伺ったりなど、堅苦しくない勉強会を目指しています。
2017.05.12