この度の平成28年熊本地震により被災された皆さまに対し、心からお見舞い申し上げます。
被災者の方への法的支援に関し、日本弁護士連合会では、4月15日に平成28年熊本地震に当たっての緊急会長談話を発表しました。その談話では、「阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、平成19年新潟県中越沖地震、そして東日本大震災など、当連合会及び各地の弁護士会は、被災者の皆様の生活再建のために、法律相談や事件の受任、立法提言などを行ってまいりました。この度の地震による被災に際しても、過去の震災における支援活動で培ってきた経験を活かし、熊本県弁護士会、九州弁護士会連合会及び各地の弁護士会、さらには各自治体や日本司法支援センター(法テラス)など関係諸機関と連携し、被災者の方々の支援に全力で取り組んでまいります。当連合会は、被災地域の一刻も早い復旧・復興が実現することを願うとともに、被災者の皆様の法的支援に尽力する決意です。」とあります。
また、同連合会では、同月18日に、総合法律支援法の一部を改正する法律案の早期成立と、熊本地震への適用を求める緊急声明を発表しました。その声明では、「当連合会は、過去の震災における支援活動で培ってきた経験を活かし、被災者の方々の支援に全力で取り組むところ、その一歩目が、被災者の方々から寄せられる法律相談への対応と、被災者の方々が必要とする各種制度の紹介等である。」とあり、法律相談対応と各種制度の紹介業務を支援の第一歩に位置付けています。
被災地である、熊本県弁護士会では、同月15日に災害対策本部を設置し、同月20日に、「一人ひとりの生活再建の一助となるよう、法律専門家として、役に立つ情報(被災者生活再建支援制度や、新しい「自然災害による被災者の債務整理のガイドライン」等)の発信や、無料法律相談等を実施していく予定」との平成28年熊本地震に当たっての会長談話を発表しました。同月22日には、“熊本県弁護士会ニュース<災害Q&A>”を同会のホームページ上で公開し、各種制度の紹介を行い、同月25日から、被災者向けに電話による相談・情報提供を実施しています(同月27日からはフリーダイヤル設置)。
福岡県弁護士会でも、同月25日から、熊本地震に関する無料相談を実施しています。
なお、広島弁護士会でも、同月27日、熊本地震の被災者支援に関する会長談話を発表しました。その談話では、「被災地においては、今なお余震が続いており、不安を抱えたまま、過酷な避難生活を余儀なくされている方が大勢いらっしゃいます。2014年8月に発生した広島市豪雨災害においても、多くの被災者が、公民館などの避難場所で、不安な日々を送りました。」とし、広島市豪雨災害への言及があります。
私は、広島市豪雨災害に際し、同会の一員として被災者支援に関わりました。災害発生直後に、東日本大震災等の被災者支援に関わってきた他の弁護士会所属の弁護士が広島に来て、知識や経験を共有して下さったのは、とても勉強になりました。また、各種制度紹介や法律相談窓口案内等の情報発信業務を担当した際、情報が混乱し、被災者が避難等で移動する中、様々なニーズを持つ被災者に有用な情報を分かりやすく早期に届け、法的支援につなげる難しさを実感しました。今回の熊本地震の場合は、より広域の被害で、被災者の数も多いため、弁護士会として被災者に情報を届けるのは、大変なことだと思います。各地の弁護士会・弁護士連合会や関係機関と連携しながら、一人でも多くの被災者に情報が届き、今後の生活再建につながるように願っています。