みらいブログ

2016.04.12

終活、エンディングノートと遺言

定者 吉人(2019年6月末退所)

 最近「終活」という言葉を良く目にするようになりました。
 「終活」は、「しゅうかつ」と読みます。大学生の就職活動を略して「就活」といいますが、それにひっかけて作られた言葉のようで、「人生の終わりのための活動」を意味します。
 先日、広島市安佐北区にあるフジ高陽店で、「終活」をテーマにしたセミナーが行われ、私も「遺言と遺留分」について、皆さんにお話ししました。
 このような企画は、この地区では初めてのことで、たくさんの方が来場され、熱心に聞いてくださいました。また来場された方にはもれなくエンディングノートが配られ、別の講師の方から、エンディングノートの書き方、活用法について説明がありました。

 ではエンディングノートに書いた遺言は有効でしょうか。
 遺言は主として財産を、死後、一定の方に受け取ってもらうことを目的として行うもので、遺言した人(以下「本人」といいます。)の死によって有効になります。遺言が効力を発生する時には本人は死んでこの世にいないのですから、その遺言が確かに本人の意思によるものか、あとで争いが生じにくいようにしておく必要があります。そこで、民法は、遺言のやりかたについて、公証人に作ってもらう方式(公正証書遺言)、自分で書く方式(自筆証書遺言)、自分で書いて封をし公証人に証明してもらう方式(秘密証書遺言)の3つの方式に限って有効とし、このうち2番目の、遺言書を自分で書く場合は、①最初から最後まで自分で書くこと、②日付を書くこと、③署名捺印をすることの3つが必要だとしています(民法968条、960条)。
 ですから、エンディングノートに遺言を書く場合も、ちゃんと①②③の要件を満たしているか、チェックが必要です。たとえば、先日の終活セミナーで参加者に配布されたエンディングノートを見ると、相続・遺言のページがあり、記入日を書く欄はありますが、署名捺印の欄がなく、これでは署名捺印を書き忘れて、せっかく書いた遺言が無効になる可能性があります。
 また、自分で遺言を書いた場合、内容が明確でないために実行できなかったり、死亡時に遺言書がどこかに紛れ込んでしまって誰も気がつかない、ということもありえます。
 このように、自分で遺言を書く場合にはいろいろ注意すべきことがありますので、遺言を書こうと思い立たれた際は、ぜひ、当事務所の弁護士にご相談ください。

 

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