みらいブログ

2015.10.21

食べて語ろう会と中本忠子さん

定者 吉人(2019年6月末退所)

 昭和55年、当時保護司だった中本忠子(ちかこ)さんは、担当した少年と話をするうち、家庭的に恵まれない少年が犯罪に走るのは、満足に食べていないことと親身になって相談に乗ってくれるひとがいないからだと気づき、自宅で少年たちに食事の提供をはじめました。そのうち、噂を聞きつけて、大勢の少年が中本さんの家に入れ替わり立ち替わりやってくるようになり、自宅だけではまかないきれなくなったので、中本さんは、有志の方々といっしょに、平成15年から、自宅での食事の提供と平行して、月2回(第1と第3の日曜日)、広島市中区の中央公民館で「食べて語ろう会」と名前をつけて少年たちのための食事会をはじめました。
 中本さんの家や食べて語ろう会には、これまで多くの少年たちがやってきました。そして、お腹いっぱい食事をしたり、中本さんと話しをしたりして、自分の家庭では得られない、落ち着いた時間を過ごしてきました。少年たちは食べて語ろう会をメシ会と呼びますが、メシ会を通じておおぜいの少年たちが立ち直っていきました。
 実は私も食べて語ろう会の常連です。4年前から食べて語ろう会で食事をさせていただくようになりました。「いてもらうだけで、子どもたちは心づよいんよ」、と中本さんが言ってくださるので、お言葉に甘えて、つれあいといっしょに、ほとんど欠かさず参加しています。
 中本さんもそろそろ高齢になってきたので、中本さんがやってこられた、少年たちへの自宅での食事の提供と月2回の食べて語ろう会を引き継いで発展させるため、今年の夏、NPO法人食べて語ろう会が設立されました。
 来る11月3日(祝)には、NPO法人食べて語ろう会の設立を記念して、シンポジウムが広島弁護士会館で開催されます(午後3時30分から5時)。
 このシンポジウムでは、元中国地方更生保護委員会委員長の山田憲児さんが「人となること」と題して講演をされ、その後、中本さん、永井覚さん(元暴力追放広島県民会議専務理事)、小出伸行さん(岡山少年院統括専門官)さんが加わって「非行少年の再非行防止と地域の支援について」をテーマにパネルディスカッションが行われます。
 ぜひ足をお運びいただき、中本さんの思いと願いを直に聞いていただければと思います。
 シンポジウムの参加は無料です。なお、パネルディスカッションの司会は私が務めます。

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