9月23日(月・祝)、 広島大学サタケメモリアルホールにおいて、 標題のシンポジウムのコーディネーターとして登壇しました。
このシンポジウムは、 日本特殊教育学会第57回大会の一環で行われたのですが、私が、 過去、 虐待問題や障害者の問題について関心をもって取り組んできたこと から、コーディネーター役として指名を受けた次第です。
シンポジウムでは、研究者、広島県(児童相談所)、警察、 少年鑑別所、それぞれの立場から、 この問題に関する話題提供を頂きました。
話題の中では、犯罪捜査をする「警察」と、 虐待対応とその後の家族支援をする「児童相談所」、そして、 学校生活の中で子どもや保護者と接する「学校」との間で、 虐待問題に対する意見や対応方針が割れてしまう事例が報告されま した。
意外に思われるかもしれませんが、同じ公務員でも、 立場が異なると、意見や対応方針が割れ、 場合により膠着状態に陥ることがあるのです。
しかしながら、「子どもの安全」を最優先とする場合、 異なる意見・対応方針をどう調整するのか、更に、 迅速な意思決定をどのように行うかが重要なテーマになります。 取り上げられた事例では、上級機関同士の協議により、 スピーディーに解決がなされたことが報告されました。
ケースバイケースの対応ではありますが、広島県の虐待事例でも、 関係機関同士が試行錯誤して対応している様子が分かりました。
また、「障害」というテーマに関しては、虐待の前の段階で、「 親の子育てのしにくさ」があります。これをどの段階で、 誰が発見し、そして、どのように解消していくのか、 について議論がなされました。
最近、ネウボラ(※) などのワンストップサービスの取組みが日本でもされるようになっ てきています。しかしながら、小学校高学年、 中学生以上の年代で子育てに悩んだ場合、 相談先がなかなか見つからないのが現状です。
また、年齢が上がるにつれ、子どもの問題行動も、 子どもの個性によるのか、障害や発達特性なのか、 あるいは二次障害なのか、一概に判別できないケース、 援助者からみても悩ましいケースが相当あります。
当然、親は非常に困難な状況におかれることが推察されます。 親自身が不適切指導をしてしまう心理に陥っているかもしれません 。
こうしたときに、 親の悩みを親身に聞いてあげられる援助者をなるべく多く作ること 、そして相談を受けた機関も抱え込まず、多機関で連携しながら、 より良い解決方法を模索することが大事であるとの意見が出され印 象的でした。
その他にも、個人情報の取扱いや、 非行問題と虐待の関係なども話題になりました。
私は、今後も、 障害や虐待問題について取り組んでいきたいと考えています。 当事者の方、支援者の方で、悩みを抱えていらっしゃったら、 ぜひ一緒に考えていきましょう。
※注:「ネウボラ」とは、フィンランド語で「助言の場」 を意味します。 妊娠期から子どもの小学校入学まで、 担当保健師が子育てに関するあらゆる相談にワンストップで応じる 仕組みです。