今年も早いもので、一年が終わろうとしています。皆様いかがお過ごしでしょうか。
この一年も思い返すと色々な話題がありました。
最近のホットな話題としては、先日12月16日、日本の家族制度の一つであるいわゆる「夫婦同氏制」及び「再婚禁止期間」を定める民法の規定の憲法適合性に関する最高裁判所の大法廷判決が出たということでしょうか。
いずれも、判決に付された個別意見の多さから活発な議論があったことが窺えます。
「夫婦同氏制」は違憲とは評価されませんでしたが、「通称」の利用によっても、受ける不利益が解消されるものではありません。現状のままの「夫婦同氏制」が是かは、議論が必要です。
また、「再婚禁止期間」についての判決では、民法のうち100日を超えて再婚禁止期間を設けている部分が違憲であるとの判断がなされましたが、もともと、この再婚禁止期間の前提である「父性の推定」規定についても議論があるところです。離婚後300日以内に生まれた子は、前夫の子と推定するという民法の規定のために、離婚後300日以内に生まれた子どもは、たとえ前夫との血縁関係がなくとも、前夫の戸籍に入ってしまいます。そのことを回避するために、出生届が出されず、無戸籍の子どもが生じていることは看過できないようにも思えます(いわゆる「300日問題」)。DNA検査等の科学的手法により、生物学的な親子関係を確定することが可能となったなか、どのような法制度が望ましいのか、生まれてくる子どもの保護の観点からも、悩ましい問題であると感じています。
上記の他に、今年11月5日には、渋谷区、世田谷区で同性のパートナシップを証明する証明書の発行が始まったことも記憶に新しいですね。今年は、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)の方の人権問題についても積極的に議論がなされていたようにように思います。
「家族」の単位、概念、「家族」を巡る制度の在り方についての考え方も、社会の中で、日々、変化し続けているのだということを感じた一年でした。
一人ひとりがその人らしく生きていくために、どのような制度が望ましいのかは非常に難しい問題ですが、私も一人の法律家として、それ以上に一人の市民として考えていきたいと思っています。
来年も色々なことがありそうですが、引き続き、当事務所をよろしくお願いします。