みらいブログ

New2026.03.18

育休復帰後の「配転」はどこまで許される?~裁判例の報道に触れて~

半澤 茜

 育休から復帰した男性社員が、復帰に際して、外勤(営業職)から内勤に配転されたのは不当だとして、勤務先を訴えていた裁判において、先月2月18日、東京地方裁判所は配転命令を無効とし、会社側に慰謝料(20万円)と未払いの外勤手当(月額約5万円)の支払いを命じる判決を下しました。

 報道によれば、判決は、育休を理由にした不利益な取扱いを禁じた育児・介護休業法などを踏まえ、復帰時に配転を命じる場合には「業務上の必要性が、労働者の不利益を相当程度上回る必要がある」との考え方を示した上で、「営業職として復帰させることで連絡や発注のミスが起きる具体的なおそれは認められず、配転の必要性は抽象的なもの」、その一方で、外勤手当の不支給という著しい不利益を負わせたと指摘し、男性社員に対する配転命令を無効だと判断したとのことです。

 

  育児・介護休業法第10条は、事業主は、労働者が育児休業の申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと定めています。そのため、いわゆる「イクハラ」を巡る裁判では、不利益な取扱いが育休等を「理由とした」ものであるかどうかが争われることになります。

 上記判決では、育休取得を理由とした不利益取扱いであるとは認定されていないようですが、そのような場合でも、育休復帰時期の配転命令が違法無効となる場面を具体的に示した点で、上記判決は、実務上参考になるものであるといえます。

 

  違法な不利益取扱いに当たるか否かの判断に関しては、解釈通達(とりわけ平成27年1月23日雇児発0123号第1号)等のほか今回のような裁判例も考慮する必要があります。

 企業側・労働者側ともにそうした解釈通達等や判決の動向を意識した検討が求められるところです。私自身も、今後も関連報道を注視していきたいと思います。

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