最近、検察審査会について、 報道でも触れられることが多くなりました。
検察審査会という名前だけからすると、検察庁にある組織の様に思われますが、実際には、 地方裁判所や地方裁判所支部に設置されています。
広島県内には、広島に2つ、呉、尾道、福山、 三次に1つずつの合計6つの検察審査会があります。
1つの審査会は、11名で構成されており、選挙権を有する国民の中から、くじで選ばれます。
国家が、ある人に刑罰を科すとき、 刑事裁判を通じて裁判官の判断が必要です。
この刑事裁判は、どのようにして始まるかというと、 民事裁判と同じく「訴える」ことが必要です。
これを「起訴」といいます。
そして、日本では、公益の代表者である検察官のみに、 この起訴する権限を独占させる制度を採用しています。
当然ながら、起訴をしないこと、つまり「不起訴」 とするのも検察官が裁量で決めることが出来ることになります。
そうすると、検察官が、その判断で「不起訴」にしたことが、 国民の目からみて疑問に思う場面も当然あります。そのときに、 検察官の不起訴の判断が正しかったかどうかを改めて一般の国民の 感覚から判断するのが検察審査会であり、 検察庁とは別の独立した組織であるため、裁判所に設置されているのです。
以前は、検察審査会は、その判断を示した上で、 検察官が再捜査し、 改めて起訴するかどうか決めるのは検察官でした。
しかし、検察審査会法が改正され平成21年からは、検察審査会が「起訴相当」の議決を2度すると、 起訴が強制されることになりました。
ただ、起訴されて刑事裁判になることは、 訴えられた被告人の立場からすると大きな負担です。
だからこそ、起訴の判断は慎重になされるべきであり、 1度では足りず「起訴相当」の議決を2度、 必要としているのです。
検察審査会の議決は、あくまで起訴の場面に関するものにすぎません。
無罪推定の原則の下、起訴された被告人が有罪なのか無罪なのか、 厳格な刑事裁判手続に基づいて審理されるものであることには、 注意が必要です。