みらいブログ

2018.11.07

野球と裁判

橋本 敬介

 今年は、広島東洋カープがセ・リーグ三連覇を達成し、日本シリーズでは熱戦が繰り広げられました。
 私はカープファンで試合を観戦することもあるのですが、野球では、アウトかセーフか際どいプレーもあります。この場合、審判はアウトかセーフかいずれかを宣告します。判断が難しいプレーもありますし、正直どちらか分からないこともあるのでしょうが、審判が分からないと正直に言うことはプロ野球では許されていないように思います。
 私達が行っている裁判でも、契約がなされたのかなされていないのか、その人が犯人なのか犯人でないのかなど、判断が難しいことがあります。
 この場合、どちらか分からないので裁判所は判断しないということになると、紛争が解決しません。
 そこで、裁判では、例えば、「ある事実があったかなかったか分からないときには、その事実はなかったと扱う」というように、真偽不明の場合にはどちらかに決めてしまうルールがあらかじめ定められています。
 このようなルールを立証責任と呼んでいます。
 例えば、殴られて怪我をしたと主張して治療費を請求する人(原告)と、殴ってないから治療費は払わないという人(被告)との争いでは、被告が原告を殴ったことを原告が立証しなければなりません。
 証拠を検討しても殴ったか殴っていないかが分からない場合には、裁判所は殴っていないと扱うことになります。
 つまり、よく分からないときも、どちらかに決まるようになっているのです。
 実際の事件では、このような立証責任を前提に、証拠から事実が認定できるかを検討しながら、事件をどのように解決するべきかを考えています。

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