趣味は何ですか?と尋ねられた場合みなさまはどう答えられますか。
読書、切手などの収集、登山、旅行、スポーツ観戦、カラオケなどという答えが返ってきます。そこでは、自分の職業とは関係ないことが前提のようです。
ところで、「趣味」を新村出編の最新版の広辞苑(2018年1月12日発行)で調べると、「専門としてではなく、楽しみとしてする事柄」とあり、文例として「趣味にピアノを弾く」とあります。そして「専門」とは、「特定の分野をもっぱら研究・担当すること」とされています。「職業」との関係は明確ではありません。
次に、金田一京助編の新選国語辞典(1994年1月1日発行)には、「趣味は音楽です」の文例のところの解説は、「なぐさみのために愛好するもの」とあります。ついでに同辞典で「なぐさみ」を引くと「気ばらし。うさばらし。たのしみ。」とあるので、「趣味」とは、結局楽しみのためにすることになります。しかし、「職業」との関係は、はっきりしません。
そこで、福武国語辞典(1989年9月1日発行)を引くと「趣味」とは、「職業や専門としてではなく、楽しみでしている物事」とあり、ここにきて「趣味」は職業とは別の分野での楽しみであることが分かりました。ところが、「専門」として楽しんでいると「趣味」ではないことになりそうです。「専門」の意味については上記の3つの辞典では、職業でなくても特定の分野を担当・研究していることであるとの解説ですから、職業でなくても特定の分野を担当・研究してる場合は、「趣味」ではないようになります。そのため、プロでないアマチュアのゴルファーで、選手権で上位に入賞するような人や特定の分野について職業ではないが玄人はだし(しろうとでありながら、専門家以上にじょうずなこと 新選国語辞典より)の人は、ゴルフやその研究している分野のことについては、専門家ですから「趣味」とは言えないことになるのでしょうか。
しかし私たちは、自分の職業以外の分野について、関心を持ち楽しんでおられ、専門家といわれるくらい造詣が深い場合であっても、その人の趣味としているのが実情でしょう。つまり、自分の仕事以外の分野につい関心を持ち楽しんでおられる場合は、造詣の程度は問わないのが趣味です。
まあ、あまり難しく考えずに、楽しむことが「趣味」なのでしょう。
ちなみに私は、新規発行される記念切手や使用済の国鉄(いまのJR)の切符(乗車券や優等列車券、指定席券など)を集めたこともありました。しかし記念切手の発行回数が、毎年50回くらいあるようになったことやシート買いが多く1枚ずつ買うことが憚れる状況になってしまったことからやめています。切符は、パソコンで印字されて発行され、昔のように硬券(こうけん)という厚紙でつくられ大きさや色が異なる切符はなくなったことから関心がなくなりこの収集もやめています。現在も集めているのは、自分が飲んだワインのラベルです。これは、集めること自体にお金はかかりませんが、ラベルの張ってあるワインを買うのにそれなりにかかることになります。これはワインを飲む限り集められるので当面続くでしょう。
2018.07.03