去る11月9日、児童虐待予防月間の一環で、せら文化センターにおいて、世羅町の児童相談員・民生委員・町職員の皆さん約40名に対して、「事例からみる要保護児童の法的問題」という題目で、講演を行ってきました。当日は、世羅町長さんもかけつけてくださり、一緒に講演を聞いて頂きました。
「要保護児童」とは、保護者の虐待、病気、監護能力不足などで、保護者に監護させることが適当でない子どものことを言います。要保護児童に対する支援の充実を目指して、平成25年、児童福祉法に「要保護児童対策地域協議会」(以下、「要対協」といいます)の設置が規定され、現在では、殆どの市町が、要対協を設置しています。世羅町も、要対協を設置しています。
要対協では、医療、福祉、学校、警察、司法、行政など、様々な分野で関わっている人が集まり、どのような支援が適当かを協議しています。最近では、個別ケース検討会議を開催し、情報集約や役割分担を話し合うようになりました。
しかし、要対協でも、個別ケース検討会議でも、子どもに対して、誰がどのような役割分担・支援をしていくのかが明確でないと、組織が十分機能しません。
そこで、私の講演では、いくつかのモデルケースを掲げて、要対協で想定される役割分担・支援などを、お話ししました。
とりわけ、子どもが、施設等から社会に戻された後の家庭に対するフォローが重要であること、また、個別ケース検討会議を1度きりの開催とせずに事後振り返りを行う機会を設けるべきことをお話ししてきました。
現在、児童虐待対応は児童相談所が担い、在宅見守り事業などの家庭支援は市町村が担うように機能分化が図られつつあります。家庭支援といっても、医療・福祉・心理・法律など、すそ野が広く、市町の職員だけでは対応に限界があり、社会全体が連携を取って対応しなければなりません。行政が、子どもに関わる地域住民、専門家などのの連携を十分とっていくために、国や自治体には予算措置も含めた全面的なバックアップを期待したいと思います。
写真は世羅町子育て支援課さんお手製のオレンジリボンです。
オレンジリボンは、あらゆる虐待から子どもを守る、という想いのもと、児童虐待防止のシンボルとして、様々な場所で使われています。