政府が、平成26年度自殺対策白書を公表しました。
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2014/pdf/gaiyou/index.html
この報告書によると、昨年1年間に自死された方は、約2万7000人に上ります。
平成25年度に引き続き、3万人を割ったものの、高い水準にあるといってよいと思います。
自死した人を男女別でみると、男性が1万8787人(68.9%)、女性が8,496人(31.1%)です。
また、年代別では、60歳代が全体の17.3%で最も多くなっています。
これは、60歳代が、総人口に占める割合が多いこと、そして、自死の理由である「健康問題」に直面する方が多いことが理由であると推測されます。
次いで、40歳代が16.8%、50歳代が16.4%となりました。
自死理由で最も多いのは、「健康問題」、次いで「経済・生活問題」です。
ただ、自死理由については、本人は語れません。遺書が残っているケースや、遺族や近所の方の話などをもとに集計されておりますので、正確な数値といえるかどうかは疑問がありますが、これは統計の限界といえるものです。
さて、今回、強調したいのは、若い世代の死亡原因の第1位が自死であるということです。若い世代の死亡原因というと、不慮の事故(交通事故等)を思い浮かべる方も多いと思いますが、そうではありません。
白書の記載を引用すると、「我が国における若い世代の自殺は深刻な状況にあり、15~39歳の各年代の死因の第1位は自殺となっている。こうした状況は国際的にみても深刻であり、15~39歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進7カ国では日本のみで、その死亡率も他の国に比べて高いものとなっている。」とあります。
では、若い世代の自死理由は何でしょうか。
政府の統計によれば、19歳までは、「学校問題」、「健康問題」、20~29歳までは「健康問題」、「勤務問題」、「経済・生活問題」、30~39歳までは「健康問題」、「経済・生活問題」、「家庭問題」となっています。
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/toukei/h25.html
「学校問題」については、全国各地で取組みが進んでいる「いじめ防止対策推進法」の効果が期待されるところです。
また、「経済・生活問題」、「家庭問題」、「勤務問題」については、弁護士による法律相談も、解決のひとつかもしれません。もちろん、弁護士だけでは、その人の悩みを全て解決できるわけではありません。精神科医、臨床心理士など心の問題を扱う専門家の力も必要ですし、社会保険労務士や医療ソーシャルワーカーの力も必要でしょう。それぞれの専門家が力を発揮して、悩んでいる方に対して寄り添う支援をすることが大切です。
このような支援を具体化した取組みとして、6月24日(火)、25日(水)に、広島駅エールエール地下広場で、「まちかど相談」があります。主催は、NPO法人反貧困ネットワーク広島で、広島市などが共催しています。
相談会の目玉は、ワンストップサービスです。広島弁護士会所属の弁護士のほか、司法書士、医療ソーシャルワーカー、社会福祉士、精神保健福祉士、社会保険労務士などが連携をとり、相談員2人体制で相談対応をおこないます。
当事務所の弁護士をはじめ、広島弁護士会の多くの弁護士が、企画や相談担当者として参加します。
こうした取組みを通じて、社会が1人1人の悩みに寄り添い、大切な命を守ることに繋がればと願っています。
※イベント情報「まちかど生活相談会」