みらいブログ

2021.05.17

副会長就任

見之越 常治

 本年4月1日より、広島弁護士会の副会長に就任致しました。
 弁護士は必ず弁護士会に所属しなければなりませんので、広島の弁護士は皆さん、広島弁護士会に入会されていることになります。

 広島弁護士会の活動の詳細は、ホームページ( https://www.hiroben.or.jp/ )に譲りますが、会長声明など弁護士会としての意見を表明することも活動の一つです。
 広島弁護士会の歴史を紐解いてみますと、その歴史は古く、弁護士法という法律が制定された明治26年(1893年)に遡ります。

 当時の弁護士法には、次の様な規定がありました。
 「第19条 弁護士会は所属地方裁判所検事正の監督を受く。」
 つまり、弁護士会が、裁判所や検察庁といった国の組織から監督を受けていました。

  弁護士会が、国の組織から監督を受けていると、どういうことが想像できるでしょうか。
  ひょっとしたら、刑事事件で、検察官と対峙する弁護人が検察庁の監督をおそれて、思った通りの弁護活動が出来なくなるかもしれません。
 あるいは、国の責任で被害を被ったとして、国に対して損害賠償請求をしたいと考えても、裁判所からの監督を嫌って、弁護してくれる人を探すのが難しくなる かもしれません。

 これでは、依頼者ひいては国民の権利が、守られないことになりかねません。

 そこで、戦後に制定された、新しい「弁護士法」では、弁護士会が自ら監督することが明記されました。これは、弁護士が、その使命である人権擁護と社会正義を実現するためには、いかなる権力にも屈することなく、自由独立でなければならないからです。

 副会長に就任して、まだ1ヶ月余りですが、 弁護士会の活動について今まで以上に見聞きする機会が多くあります。
 会として、会長声明を発するときには内容を含め、様々な議論をするのですが、こういった活動が、弁護士の自由独立を堅持することに繋がるものであることを再認識しています。

 副会長の任期は、1年間という短いものですが、新しい「弁護士法」が制定された歴史的経緯を改めて顧みつつ、任期を全うしたいと思います。

 

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